点灯と明滅

交歓日記|Twitter @taka_1_4

扇風機はじめました(どら)

この数日間、訳あって数年ぶりに自分の部屋のベッドで寝起きしている。昔、毎日ベッドで寝て起きていた頃はそんなこと絶対思わなかったけれど、ソファで寝ることに慣れてしまった今は、広いベッドはなんとなく落ち着かなくて、寝つきがわるい。私は横向きになって寝ることが多いけれど、そうしてベッドに寝るとき、背中には何もない。仰向けに寝てみれば、背中にはベッドがあるけれど、体の両側には何もない。うつぶせだと、やっぱり背中には何もない。何もないということは、少なくとも私にとっては、つまり空白ということで、空白には不思議な怖さ、妙な怖さがある。自分の中で、いまだにおばけとかそういうものの存在の、可能性を捨てきれていないからかもしれない。


私はテレビっ子だから、普段の生活の中でテレビがついていない時間はほんの少ししかない。でも、テレビがない状態で過ごしていると、色々な音に敏感になるんだなあ、と今日気づいた。お昼に窓を開けて網戸にしていると、家から徒歩30秒のところにある私も通っていた小学校から、ピアノの音が聴こえてきた。それから、夕方には、小学生が自転車のベルをしつこく鳴らす音。うるさくはなかった。むしろちょっとうきうきした。ベルの音を聴きながら、私もベルを持って、その小学生とお互いベルを使ってモールス信号で会話できたら、スパイみたいでかっこいいなーなんて思ったけど、私はモールス信号を詳しくは知らなかった。きっとその小学生も知らなかっただろう。そういえば、私の小学生の頃の夢は、スパイだった。でも何かに書かなきゃいけない時は、いつもバイオリニストって書いてたなっていうこともセットで思い出した。


いい思い出すぎて振り返りたくない、そんなことがある。振り返ることを繰り返すと、繰り返した分だけ脚色されて、変わってしまうような気がするから。そうして最終的に、全然違うものになってしまって、それに気づけないかもしれないから。だから、いい思い出は、本当に振り返りたいときだけ、振り返らなきゃいけないときだけ、そのときのためにとっておきたい。